本機器の発想には、基になった美容法があります。 微弱電流を特殊な機器から発生させ、施術者の手を通してお客様に流すことで、肌の細胞や身体の深部を活性化させる施術です。
ただ、素手によるトリートメントは長期間続けることで、 施術するセラピストの末梢神経への影響が懸念されます。 そこで、施術者自身には電流が通らないよう、絶縁体を用いた手袋型の電極を発案し、このアイデアをもとに初期モデルが開発されました。
その後、さらに独自に改良を重ね、一から素材等を見直して作り上げたのがBillyです。開発においては、施術に専用のクリームやオイルが必要にならないよう配慮し、水に濡らすだけで使える導電性の繊維を模索。 また、被施術者の皮膚や筋肉の状態を高い解像度で把握し、繊細な施術を可能にする素材の「薄さ」にも徹底的にこだわりました。
西洋医学と東洋医学は、それぞれ異なる視点とアプローチから健康を支えています。
西洋医学は、病気の原因を特定し、科学的根拠に基づいた診断と治療を行う「論理的な解析」と「精密な治療」が強み。
一方、東洋医学は、人間の体全体のつながりを重視し、自然との調和や自己治癒力を引き出す「包括的なケア」と「未病の予防」に重点を置きます。
これらは本来対立するものではなく、相互補完的な関係にありその橋渡しこそが、未来の医療を進化させる鍵となるでしょう。
Billyは医療ではありませんが、東洋医学と同じく「人を全体として捉え、自然なバランスを重視する」という視点を持ち、健康を支える補完的な役割を果たすことを目指しています。民間で確かな結果を積み重ねることで社会的評価を変え、医療の現場意識を変えていくこと。Billyが描く未来は、意外に大きいものなのです。
Billy開発者/医師・薬剤師・医学博士
織田 聡
西洋医学と東洋医学の間につながりがあり、情報が共有されることで、より良い医療の選択肢が広がるのではないか――。
この考えのもと、薬学や鍼灸、医学を学び、統合医療の視点から健康を支える方法を探求してきました。改めて実感するのは、西洋医学と補完医療の間に横たわる溝が思っていた以上に深いことです。
統合医療の理念では、西洋医学と補完的なケアを組み合わせることで、より包括的な医療やケアを提供することを目指しますが、現状でも十分に連携が進んでいるとは言えません。この溝を埋め、橋渡しを進めるためには、専門家の業務のタスクシフトによる「医療の共創化」が必要だという考えに至りました。
Billy’s careは、そんなタスクシフトの一環として生まれた最初のモデルと言えます。ここから医療を取り巻く世界の変革が進んでくれればと願っています。